ビートルズのリマスター・アナログ盤(LP)が2012年に発売された。2009年にCDで発売されたリマスターを基本的には継承しているようだ。
まずは「Rubber Soul」と「Past Masters」の EU 盤を購入した。所謂 iPod などでヘッドフォーン、イヤーフォーンで音楽を聴く人が多くなった。それに合わせた訳ではないだろうが、全体的にはオリジナルの荒々しくも生々しい迫力は薄れ、まろやかで柔らかい音色になったと思う。しかし、立体感や奥行き感は狭まり、どこか平面的な感じもする。
多分、オリジナル・アルバムと音質を比較するのはナンセンスな感じだ。オリジナルとは音色の趣向が異なるので、オリジナルの音質と同じかどうかを追及するのは間違いで、お互いのいい面を評価して聴くのが、やっぱり良いと思う。
リマスター盤の特徴は、その温かみのある優しい音色が特徴だ。これは、演奏の迫力やヴォーカルのセクシーさが薄くなるという弱点と裏表となる。各楽器類の分離が良く、細部の音まで良く聴こえるのは良い点だ。
アナログ再生のオーディオ的楽しみでは、オリジナル盤がカートリッジを選ぶというのに対し、リマスター盤はどんなカートリッジでも受け付けるという利点がある。具体的には、オリジナル盤は昔ながらのパワフルなカートリッジでは良い音を出すが現代的なカートリッジとは相性が悪い時もある。しかし、リマスター盤はカートリッジの個性を引き出す傾向があるので、複数のカートリッジでアナログ盤を楽しむ私には、とても良い点だ。
以下、リマスター盤の感想を記す。
- 「Rubber Soul」 : CD化された時のミックスによるLP化だ。オリジナルのステレオ盤とは異なるミックスなので購入した。音の分離が良く、各楽器類の細かなニュアンスが把握できるのは良い。しかし、例えば「Girl」なんかはヴォーカルの存在感が薄い。オリジナル盤では耳元で唄っているようなリアル感があったが、リマスター盤ではその雰囲気は非常に薄い。(2011/11/29)
- 「Past Masters」 : 英国プレスのアナログ盤は荒々しい音色で、ちょっとうるさい感じもしていたので、このリマスター盤の柔らかさは個人的には良いと思っている。ただ、LP片面の収録時間が長いので、どうも音の密度の薄さを感じてしまう。(2011/11/29)
- 「Help !」 : 米国プレス盤を購入した。「Rubber Soul」と同様にCD化された際のミックスでアナログ化された。ヴォーカルが真ん中よりになり聴き易い。全体的には丸みのある暖かい音色だ。ただ、(特にA面は)アコースティック・ギターの音に張りがなく、躍動感に欠ける。(2011/12/23)
- 「Magical Mystery Tour」 : A面を聴いた時、素直に良い音質だなと思った。ヴォーカルや楽器類の分離度が良く、マイルドな音色で聴き易かった。ただ、A面最後の「I Am The Walrus」はヒステリックさが少なくなった分、逆に面白さが半減した。リマスタリングは難しい作業なんですね。今までと同じ感想だが、マイルドで聴き易くなった曲もあれば、躍動感の減少で演奏の面白さが無くなった曲もあるが、全体的には良いと思う。(2011/12/23)
う~ん、追加の購入はこれで終了かな? いや、なんだかんだで、これからも購入しそうだ。Mobile 盤で特別に値段の高い「With The Beatles」は、代替という意味で買うと思う。そのうち安くなったら中古で入手したい。
(他のサイトでは「Beatles For Sale」と「Let It Be」が良いらしい? 逆に「Revolver」「Sgt.」「Abbey Road」はイマイチ? でも、本当に良くないのか自分の耳で確かめたい?)
さて、今回のリマスタリングしたアナログ盤の発売は、ビートルズに対するコレクター魂を呼び起こされた。保有しているビートルズのアナログ盤を一通り聴いてみた。「The Beatles (White Album)」のモノラル盤の音質が悪かったので買い替えたい。状態の良いオリジナル盤は6万円以上もしそうだが、でも欲しいな~。
日本の東芝EMIが1980年代に発売したモノラル盤も集めたい。このシリーズは音質がそこそこ良い。Mobile Fidelity Sound Lab は全部を揃えたいとは思わないが、残り「Let It Be」などを手に入れたい。
オリジナルとは趣向の変わった音色という意味では、70年代後半のドイツ・プレスのアナログ盤を探したい。ワイドレンジ感が強いと言われている音色が気になる。(「Magical Mystery Tour」のドイツ盤は確かに面白い。)
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